春のおわり

失恋をした こんな直截的な表現でよいのかと思う でも、紛れもない失恋をした 全然人を好きになれない中で 人生で一番好きだったその人は たぶん愛をくれなかった もしかすると愛を注げない人なのかもしれなかった けれどそれも、認めようとしない頭 何かの…

盲目

私は恋がしたいだけだ だれかに なにかに 熱中したいだけだ まじりけのない気持ちの美しさと尊さ 何かに押し付けではない“愛”を注ぐということ ただそれだけを求めているのだということに 愛と、その交換と、自分がこの世界に溶け込める余地 ただそれがほし…

真実

私が好きなあの人が 私のことを好きだったらいいのに “過去も未来も” 関係なく 今日、今この瞬間に 好きな気持ちがあればいいのに 確認し合うことができなくても 真実は両思いならいいのに 何も起こらなくていい もしも小説なら、読者にしかわからなくていい…

返信

去年の今日のメモ ーーーーーーー 「返信不要」は 相手のためなのか それとも自分を守るためなのかそんなことを考えながらまどろむ夜中

好き

「好き」を「好き」だと認識した時点で それは走り始めてしまう 走らせなければならないのか 自ずと走り出してしまうのか そのレールの突き当たりにはいつも 「付き合う」「結婚する」 が用意されている 走り出した「好き」を止めることはできない 前にも後…

破片

愛してる愛してる愛してる愛してる こんなに薄っぺらくてこんなに重たい言葉をこんなに私は叫びたい なのに世界は、君は、私はそれを許さない いつも吸っているはずの空気が苦い日を重ねるごとに息をするごとに死んでいく 君が輝きを増すたびに私は暗さを纏…

愛していると言った愛していないと思った 大好きだと言った恋の目は私の中に映った彼自身を見ていた 初めて電話をかけた日嘘の理由と聞こえのいい言葉を並べコールは切れた 思いを文字に埋めることも盲目的になることもついにはできなかったそれなのに眠れな…

恋をすればいつもこう 何もできなくなる ただぷかぷか何かの上に浮いている 小さい頃からずっとこう 当時と比べると まだ生活はできるくらいに成長したけれど それでも気付けばぼうっとしてしまう この気持ちを持て余し やりどころに困惑しながら 結局大切に…

仮定

どこにでもないこの空間へ いつから純粋に誰かを好きになれなくなったんだろう心当たりはある 世界の何にも囚われないならば誰を心から愛せたのだろう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あの日たった私たちだけがキンモクセイの風を受けていた帰り道…

東に

どうしても、東京に行きたかった。 それは、きらびやかなお店への憧れだったのかもしれないし、 出会いの多さへの期待からかもしれないし、 あの雑踏の中に、普通じゃない自分が溶け込む余地を感じたからかもしれなかった。 東京に住む人たちはみんな、心の…

beginning to look a lot like...

暖かい部屋で ふかふかのソファーで 淹れたてのカフェオレを飲みながら 弦楽アレンジされたクリスマスソングとともに 外をぼんやりと見つめる その時間の幸せといったら…! プレゼントは子どもだけのものじゃない クリスマスのあたたかさは 冬の寒さをも超越…

無題

世界に色をつけたくて 思わず立ち尽くしてしまうような 鮮やかな色をつけたくて 挫けてもなお 何度でも信じ続けた 気がつけば 目の前に広がったピンクと青の空 その美しさに仰いだ それなのに 夕暮れとともにそれは どこかへ流れ出てしまった いつまでたって…

変わり目

夏の中に トパーズメッシュの風が吹き出した頃 目を細めたあの子は 何かを懐かしんだのか それとも微笑んだのか 後悔したのか 結局何もかもわからないまま グラデーションの季節はやってきた 終わりを嘆く人 訪れに歓喜する人 私だって 夏髪が頬を切ることも…

特別

恋と名付けられた瞬間 どこにでも転がっている 特 でも 別 でもない ふわふわしたものに数えられてしまう それに耐えられなくて 必死に他の言葉を探した その思いが 世界にたったひとつのものであることを 証明するために 上品で格別に美味しい お気に入りの…

深夜に

愛だったものは いつまでも溶け切らず 愛だったものは 私を自由にしてくれない 愛だったものは 手を止める 愛だったものは 私を蝕み続ける もう愛なんかじゃない 愛だったものは私を深く傷つける 愛だったものは 私たちを繋ぐ沈黙 愛だったものは 虚しさに …

雨音

雨が降った だから特別な気分になった ちょっとわくわくしながらドライブする 少しの視界の悪さだって これも日常への味付け 雨音に包まれる 音楽と混ざり合う ライトに照らされたガラスの水滴 模様ができる車のシート 楽しい夜 一段と強くなる雨 音楽に混ざ…

ひとりの夜は

ひとりの夜は 月と私 ひとりの夜は ひみつの時間 こんな夜をひとりじめ それはなんと素晴らしい ひとりの夜は やさしい気持ち ひとりの夜に振り返る 呼び止めたのは 穏やかな声 店から漏れるカラオケの音 吹き抜けていく虚しい風 あなたのいない町 ひとりの…

真ん中

私はいつも 真ん中をあいしてしまうから 真ん中でしか生きられない 白と黒が入り混じる 陰と陽が接し合う 正と誤が交差する その狭間に立っていたい 真ん中で繰り広げられる その交錯こそが美しい それになぜ気付かないのだろう 美しいものにはいつも矛盾が…

白と黒

きみが私を捨てたあの日、私はあの曲を捨てた 私はどこにもいなくなってしまったから もうあの日も帰ってこなくなってしまった きみが私に向けるのはとても鋭利な刃 それにきみは気付かないから私も知らないふりをする きみは残酷だよ 音楽が大好きなきみは…

はなびら

はなびらほどの 無数の思いは はなびらのように 散ってしまう 移ろう季節とともに まいにち まいにち 手に入れたのは はなびらとおなじ はかなさ